E5071Cのアクティブ・チャンネルにおけるアクティブ・トレースのトレース・データを、CSV形式(拡張子*.csv)のファイルにして保存し、後でパソコンのアプリケーション・ソフトに呼び出して利用することができます。
トレース・データは、以下のようなフォーマットで保存されます。
"# Channel 1"
"# Trace 1"
Frequency, Formatted Data, Formatted Data
+3.00000000000E+005, +1.41837599227E-002, +1.43446459328E-006
+4.27985000000E+007, +1.41275293412E-002, +2.02407834551E-004
+8.52970000000E+007, +1.41334093048E-002, +4.00643331604E-004
+1.27795500000E+008, +1.41240661092E-002, +6.09250514670E-004
+1.70294000000E+008, +1.41402155348E-002, +8.05620003993E-004
1 行目に、ファイルが保存された時点でのアクティブ・チャンネルのチャンネル番号が出力されます。
2 行目に、ファイルが保存された時点でのアクティブ・トレースのトレース番号が出力されます。
3 行目は、4 行目以降に出力されるトレース・データの項目を示すヘッダーです。
4 行目以降に、周波数点分だけのトレース・データが出力されます。
以下の手順により、E5071Cのトレース・データを保存します。
Channel Next/Channel Prev または Trace Next/Trace prev を押して、保存するトレースを選択します。
Save/Recall キーを押します。
Save Trace Data を押して、Save Asダイアログ・ボックスを開きます。
ファイルの保存先のフォルダを指定し、ファイル名を入力します。
Save を押してファイルを保存します。
E5071Cアクティブ・チャンネルにおけるトレース・データを1 〜 4ポート・モデルのタッチストーン形式のファイルに保存することができます。.
保存可能なデータ形式は「ログ振幅 - 角度」、「リニア振幅 - 角度」、「実数部 -虚数部」です。
AUTOを選択すると、アクティブ・チャンネルの表示フォーマットに従ってデータ形式を自動的に設定します。ただし、アクティブ・チャンネルの表示フォーマットがログ振幅フォーマット(LogMag)、リニア振幅フォーマット(LinMag)、実数/虚数フォーマット(Real/Imag)以外に設定されていると、データ形式は「実数部 - 虚数部」に自動的に設定します。
タッチストーン形式で保存されたデータは、PC(パーソナル・コンピュータ)やワーク・ステーション上のAgilent アドバンスド・デザイン・システム(ADS) 等の回路シミュレータで利用することができます。ADSの詳細についてはADSの取扱説明書を参照して下さい。
ファイル・タイプがs2p(2ポートtouchstone ファイル)のユーザ定義のマッチング回路の情報が保存されているファイルについては、フィクスチャ・シミュレータ機能でE5071Cに呼び出すことができます。この場合を除き、タッチストーン形式で保存されたファイルは、E5071Cに呼び出すことはできません。
E5071Cでのタッチストーン・ファイルのファイル・タイプはs1p、s2p、s3p、s4p の4つです。ファイル・タイプは、タッチストーン・ファイルに出力されるデータ構造のポート数を表しています。
タッチストーン・ファイルのデータ構造は、ヘッダ部とデータ部の2つで構成されています。ファイルの内容はテキスト・データですので、テキスト・エディタで読み出すことができます。
ヘッダ部の構造は、*IDN? の返り値、ファイル生成日付、校正の状態、指定ポートの全Sパラメータの一覧、フォーマットの情報で構成されています。
以下に、s1p とs4p の場合のヘッダ部を示します。
!Agilent Technologies,E5071B,<ID>,<FW Revision>
!Date <Date>
!Data & Calibration Information
!Freq Sww:Method(Stat)
# Hz S FMT R Z0
!Agilent Technologies,E5071B,<ID>,<FW Revision>
!Date <Date>
!Data & Calibration Information
!Freq Sww:Method(Stat) Sxw:Method(Stat) Syw:Method(Stat) Szw:Method(Stat)
キ
キ
Swz:Method(Stat) Sxz:Method(Stat) Syz:Method(Stat) Szz:Method(Stat)
# Hz S FMT R Z0
記述内の項目については、以下の意味を持っています。
パラメータ |
機能 |
Sww〜Szz |
選択されたテスト・ポートによるSパラメータ1 〜 wはテスト・ポートの若い番号から順に対応しています。 |
Stat
|
Sパラメータの校正実行の状態 (ON または OFF) ON = 校正を実行します。 |
FMT |
データ形式 RI = 実数部 - 虚数部 |
Z0 |
基準インピーダンス値 |
データ部の構造は、選択したファイル・タイプと指定したポートの組み合わせによって決定されます。
校正が実行されていないポートのSパラメータを指定したときは、そのSパラメータで測定したデータがあれば、その測定データがタッチストーン・ファイルに出力されます。測定データがない場合は、該当する箇所に0(ログ振幅- 角度の場合のみ、ログ振幅= -200 dB)が出力されます。
タッチストーン形式で保存されたファイルのデータ構造を下記に示します。
1 ポート・タッチストーン・ファイルのデータ部
2ポート・タッチストーン・ファイル
3ポート・タッチストーン・ファイル
4ポート・タッチストーン・ファイル
タッチストーン形式で測定データを保存するとき、以下の制限があります。
フィクスチャ・シミュレータがオン、ポート・インピーダンス変換がオンの場合、保存対象のポートのZ0が全て同じ値に設定されている必要があります。もしポートごとにZ0の値が異なっていると、エラーにはなりませんが、ヘッダ部に出力されるのは一番小さいポート番号のZ0のみとなります。
タイム・ドメイン機能を使用している場合、表示されているデータが保存されるのではなく、変換前のSパラメータのデータが保存されます。
タッチストーン形式で保存されるデータは、データ演算、タイムドメイン、パラメータ変換、データフォーマット、スムージングの処理は出力データに反映されていません。
周波数オフセット機能を使用しているデータを保存しようとすると、エラーが発生します。
以下の手順により、トレース・データをタッチストーン形式で保存します。
Channel Next/Channel Prev およびTrace Next/Trace prev を押して、保存するトレースを選択します。
Save/Recall キーを押します。
SnP > SnP Format を押します。
保存したいデータ形式に対応したソフトキーを押します。
ソフトキー |
機能 |
Auto |
アクティブ・トレースの表示フォーマットに従ってデータ形式を自動的に設定します。ただし、アクティブ・トレースの表示フォーマットがログ振幅フォーマット(LogMag)、リニア振幅フォーマット(LinMag)、実数/虚数フォーマット(Real/Imag)以外に設定されていると、データ形式は「実数部 - 虚数部」に自動的に設定します。 |
LogMag/Angle |
「ログ振幅- 角度」のデータ形式を選択します。 |
LinMag/Angle |
「リニア振幅 - 角度」のデータ形式を選択します。 |
Real/Imaginary |
「実数部 - 虚数部」のデータ形式を選択します。 |
保存したいファイル・タイプに応じて、s1p、s2p、s3p、s4p のいずれかのソフトキーを押します。
保存したいポートの組み合わせに対応したソフトキーを押します。例えば、手順5でs3p を押したときに表示されるソフトキーは1-2-3、1-2-4、1-3-4、2-3-4 となりますので、ポート1、ポート2、及びポート4の測定を行ったチャンネルのデータを保存したいときは、1-2-4 を押します。
Save As ダイアログ・ボックスが開きます。ここでの操作は、外部キーボードおよびマウスを使用してください。
ファイルの保存先のフォルダを指定し、ファイル名を入力した後、Save を押してファイルを保存します。
掃引中のデータを保存すると、掃引途中のデータがタッチストーン・ファイルに保存されます。すなわち、まだ掃引されていない部分のデータに以前の掃引データが保存されたり、以前に掃引されていない場合は0のデータが保存される可能性があります。このことから、タッチストーン・ファイルへの保存を実行するときは、アクティブ・チャンネルをホールド状態にしておくことを推奨します。